ことば監視センター

　政治的ということ

「政治的」という言葉は、良い意味でも悪い意味でも使用される興味ある言葉である。今回の自民党の総裁選のごたごたした関係をまとめるならばまさに駆け引きの世界を適切に言い表している「政治的」と言う言葉がぴったりである。
　小泉首相は、派閥云々と派閥を敵に回すようなポーズをとっているが、彼を支えているのは派閥そのものである。森氏にしても山崎氏にしても派閥からの脱却を試みたこともない。まして、青木氏にいたっては、論外だろう。国民のひとつの願望である自民党への注文を代弁する振りをして「自民党をぶっ壊す」と声高に威勢は良いが、自民党の中でぬくぬくとしている。
　一方、抵抗勢力と言われる派閥も本当に抵抗をしているのか最近では疑問に思うことが多い。結局は、小泉首相再選で終わる茶番劇のように思える。亀井氏や野中氏は迫力がない。何か裏がありそうだ。
　わけの分からぬ茶番劇が延々と続く。「政治的」と言う言葉どおりの政治が行われることを国民は願っているのだが。

　温泉の不当表示ー評論家の態度

　白骨温泉から始まった温泉の表示の問題がやっと静かになってきた。入浴剤を入れたり、水道水を沸かしたりといったことが発覚して、温泉業界のかたがたの例の通りの謝罪や村長の辞任といったところまで発展してしまった騒ぎであった。
　この出来事で、私が興味を持ったのは、今まで雑誌やテレビで各地の温泉の評価をしていた評論家のことばである。それまでは、温泉宿に気兼ねしたのだろう。その評価は概してよかったのだから困っただろう。有名なＡ氏などは、居直ってしまって、たとえ水道水を沸かしたものであってもいい温泉はいいのだ。旅館の評価には関係ないとまで言い切ってしまっている。
　嘘をつくのはよくないことであるのは当たり前のことである。それを曲解して我田引水のごとき言動をするのはなんと言っても間違いでありみっともないことだ。旅館のかたがたに比べ、これらの評論家といわれるかたがたの品性が劣っていたことが印象的であった。

　NHK幹部による使い込み

「NHKはみなさんの受信料で・・・」といやらしく繰り返しているNHKもやってくれるものだ。受信料を払え払えと繰り返しているが、そのお金を個人資金としている幹部がいるといった驚くことが発覚した。（驚かなくともよいのか）こんな職員がいるようではなんともまあ。
　「NHKのみなさん」はどのようにうけとめていらっしゃるのか。
　年金問題では、未納等の議員について問題になっていたが、さすがに、使い込みをしたり、着服したといったことは聞いていない。
　私の住んでいる静岡県でも教育委員会や県警職員によるカラ出張等の使い込みが問題となっている。大人の世界のこのような不正が社会全体を倫理観の欠如へと導くことになるのは当然である。
　9月16日の新聞によるとNHKの収録で小6疲労骨折とある。テレビのやらせもひどいものだ。このようなTVに私たちの生活の多くを依存しなければならないと考えるだけでつらくなってくる。

　ああ日本語

「こちらエスプレッソになります」「え、、いつなるの？」ついに言い返しちゃいました。ある駅の構内にあるコーヒーショップでのやりとり。「ちょっと大人げなかったかな」と反省しながらも、その時は我慢ができなかったのです。（朝日新聞浜松支局長10月1日）
　静岡市の地方雑誌に掲載された一文です。同じようなことを考えている人もいるのだなと思いました。

　改革と言うことば

　「改革なくして成長なし」を旗印として颯爽と登場した小泉さんも最近では妙に元気がありません。仮想敵として抵抗勢力と決め付け、踏み絵をさせるまでの横暴に怒りを発する人もいたりして政局はどうなるのだろうかと心配にもなります。
　先日、日本の歴史の「太平洋戦争」を読みました。二二六事件を起こした青年将校や支援をした軍部の一部には「革新政治」ということがキーワードになっていたそうです。
　現在、声高に叫ばれている「改革」の中身を明確にすることが求められるのではないでしょうか。ことばのイメージだけが先行していくことは大変危険であると思います。

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