千百五十番　　　　　謙徳公

　　　　限りなく結びおきつる草枕　　　いつこのたびをおもひ忘れむ

　恋の永遠を願い、そして、信ずることのできた人々がかつてはいたということをしみじみと知ることができる歌である。その絶対的な信頼に対する憧れを新古今和歌集の時代の人々は持っていたのであろう。

千百四十九番　　　　儀同三司母

　　　　忘れじの行末まではかたければ　　　今日をかぎりの命ともがな

　詞書には、道隆が通い始めの頃とある。この幸せの中で死んでも良い。むしろ、死にたいと願う女の心、なんとも切ないものがある。その切実な思いは、伝わってくる。恋愛のはかなさ、頼みがたさ、男心の移りやすさがこの歌の根底に流れている。

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